パスプロ研究室-Laboratory of PASS-project-(仮)

名市大総合生命理学部の日常がここにある。

パスプロ研究室-Laboratory of PASS-project-

キラキラ化学🌟

みなさんこんにちは!パスカルです!

 

今回は、先々週も参加したケムステ主催バーチャルシンポジウムの第二弾についてお話ししていきます!

 

ケムステってなに?第一回目って何をやったの?と思う人はこちらをどうぞ!

ncu-passproject.hatenablog.com

 

第二回目は、5月15日(金)に「光化学へようこそ!~分子と光がなす機能性材料の新展開~」と題し「光化学」をテーマに講演を行って頂きました!

 

https://www.chem-station.com/archives/2020/05/2vsoc.html

 

講演をしてくださった先生方の内容のご紹介をします。

 

長谷川 美貴先生(青山学院大・理工 教授)

「未来に向けた希土類エレメント:発光を丁寧にうながす3つの工夫」

 

楊井 伸浩先生(九州大・工 准教授)

「トリプレットの機能化学」

 

齊藤 尚平先生(京都大・理 准教授)

「羽ばたく分子が創り出す新しい光科学技術」

 

この題名から興味をそそられますよね!!

 

今回は、ファシリテーター宮田 潔志先生が

長谷川先生=魔法使い、楊井先生=忍者、齊藤先生=鳥使い

という例えを用いながら、各先生の講演について基礎的なところから分かりやすく前説をしてくださいました。前説だけでもすでに面白く、講演が楽しみになりました!!

 

そして講演がスタート!!

 

まずは魔法使い長谷川先生

希土類に対する私のイメージががらっと変わりましたね。

 

放射能が出るから少しこわい!」というイメージを持っていたのですが、実は、放射能を放出するのはプロメチウムのみ

しかも、ネオジム磁石ハイブリッドカー、蛍光灯など、私たちの生活には欠かせない金属群だったんです!

 

そして希土類は、本当にきれいに光るんですね!びっくりしました!!

テルビウム(Tb)は緑色に、ユーロピウム(Eu)は赤色に光り、さらに2つを混ぜると、なんと黄色になるんですね!!

これは化学反応をしているのではなく、赤色と緑色を別々に見て、黄色と脳が判断しているらしいです。光の三原色を思い出してみてください!!

 

そんな希土類にはアドバンテージもあれば、もちろんディスアドバンテージもあります。

 

高い色純度を持つが、色調変調が困難であること。

多様な結合様式を持つが、結合を予測できないこと。

溶解性を調整することができるが、配位子が解離すると光が消えちゃうこと。

 

しかし!これらのディスアドバンテージを長谷川先生は、

「希土類にヘリカルな有機分子の腹巻を施し、希土類エレメントを実現させる」

ことによって解決されたそうです!!

 

詳細は省きますが、これが本当にすごかった。

単分子磁石なんてものが存在するんですよ?!しかも光るんですって!

まさに魔法使いでした!(≧▽≦)

 

次に忍者楊井先生

忍者と例えられる所以は、トリプレットからきます。

 

シングレットが励起状態になると、電子のスピンの向きでシングレット励起状態とトリプレット励起状態の2種類のどちらかになります。

励起状態というと、光るイメージがあると思いますが、トリプレットは、励起状態の中でも非常に光りにくいんです。

ということで「忍者」なんですね。

 

楊井先生は、フォトン・アップコンバージョン」についてお話して下さいました。

アップコンバージョンというのは、長波長から短波長に、つまり低エネルギー光から高エネルギー光に変換する技術のことを言います。

太陽光電池や光触媒において、長波長の光というのは捨てられてしまっています。そこで、アップコンバージョンを使うことにより、使えない波長を使える波長に変えることで、効率を上げることができるのです!!

 

このアップコンバージョンは、今まで、拡散を行うことによって起こしていました。

ドナー(エネルギーを渡す分子)とアクセプター(エネルギーを受け取る分子)を溶媒の中に入れて、光を当てることで、エネルギーの受け渡しを起こしアップコンバージョンを起こしていたんです。

 

しかし!

分子を動かすのではなく、エネルギーを動かすという方法を考えついたそうです!!

 

「ドナーとアクセプターをくっつけた状態で光を当てる」という方法です。

このアイデアに大変驚きました。

まさに忍術ですね。

 

そして最後に鳥使い齊藤先生

鳥使いと例えられる所以は、羽ばたく分子であるFLAPからきてます。

 

このFLAP、本当に鳥みたいに羽ばたくんです。

そして、その形ごとに色に光るんです!!

いやあ、形で色が変わるなんてロマンがあります(^^♪

 

実を言うとこのFLAPのお話は、聞くのが初めてではありませんでした。

なぜかというと、今年2020年の2月16日に行われた元素検定で講演してくださった、名古屋大学山口茂弘先生のお話に出てきたからです!

 

最初、ん?見たこと聞いたことあるぞ?と思っていたらなんと、齊藤先生は山口先生の助教をされていたんですね。

ということもあって、とっかかりやすく、さらに元素検定の時とは違い、FLAPについて深く知ることができたため、とても面白かったです!!

 

機能に繋げるのが難しい柔軟なπ共役骨格をどう活用するのか、興味深かったですね。

 

そして忘れない齊藤先生の一言

「分子を動かすことで人の心を動かす」

うわあ、かっこいい!ってなりました(笑)

 

 

第一回に引き続き、どの先生方もとってもすてきな講演をして下さり、学ぶことがたくさんありました!

そして、自分が世界で初めて見つけるっていいなと思いました!研究者ってすてきですね!!

ケムステさんは、すでに第三回のシンポジウムも開催予定です。

もちろん!すでに申し込み済みです(^^♪

次回も楽しみです!!

 

今回はここまで!